零~ZERO~
両親の鬱
全然、状態は良くならなかった。
私は、益々疑問を感じ始めていた。


このクスリは、自分に合っている物なのか?
やたらとクスリを増やされているけど、平気なのか?
それでも、処方通り飲んでいた。


だけど、影響が出始めていた。朝、起きられないのだ。クスリが効き過ぎて。
時には、仕事を休む事もあった。
このままじゃ駄目だ…。そう思った。


母に、
『病院を変えたい。同じ病院に行きたい。』
と、相談した。


母と同じ病院…。
家の両親は、鬱病で今も通院している。

一時期より、見た目も状態も普通になって、徐々に回復している姿を見て、そちらの病院に行きたいと思った。


さかのぼる事、1年前位、私が詞音と、あんな風になる前に、私の家庭は崩壊するのかと思っていた。
離婚するのかな。と思っていた。
夫婦の仲の事なので、子供は間に入ってはいけないと思っていた。


何か様子がおかしいと、思い始めたのは、普段、私に弱音など吐かない強い母が、私に父の事を相談して来たからだ。

私は、驚いたけど、母の話しを聞いた。


ある日突然、いつもと変わらず、母が父に話しかけると、もの凄い形相で、睨み付ける様になったそうだ。


次第に、父の稼いだ給料の殆どを自分の好きな様に使い切ってしまう。物欲なんか無かった父なのに。


父が休みの日は、朝早くから出掛けて、遅くまで帰って来ない。
それでも母は、父の為に夕食を作って待っていた。
それを、一口も手を付けない父。
それを、
『クソジジィ!』
と言って、排水溝に捨てる母を見て悲しくなった。

母に反抗して見た目も変わった。
髪は伸びっぱなし、髭も生やしっ放し。
そんな父を見て、正直私は、一緒に外を歩きたくないと思った。


父は、
『離婚して、自由になりたい。独りで暮らしたい。』
と言う様になった。
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