いままでありがとう
 さよなら

 愛してた



たった3行だけの短い手紙に、俺は今、これ以上ない程動揺してる。


差出人は、俺の愛するヒト。



嫌な予感を打ち払えない俺は、久方ぶりに震える指で実家へと電話をかけた。


そこで聞いたのは、アイツの、死。



家出同然で都会へと出た俺は、成功するまでこの想いは伝えないでおこうと、心に決めていた。


その願いも、もう少しで叶うはずだった。


……それがこんな裏目にでるとは。




もし、という言葉はあまり好きではない。


過ぎ去った過去を悔やんで、叶わない未来に想いを馳せる言葉だから。


そんな事を考えるのならば、今をもっとしっかり生きろ、と思った。



だけど、そんなのは俺の傲慢だったみたいだ。




もし、ちゃんと家と連絡をとっていたら、


もし、変な意地を張らずに、アイツに気持ちを伝えていたら、


アイツとの少しでも幸せな未来があったのだろうか?



今となっては、もうどうしようもないことを考えながら、俺は流れる涙もそのままに、アイツの名前を叫んだ。



「桜、桜、桜っ!!……愛してる。」




獣の悲しい慟哭は、都会の喧騒に、紛れて消えた。