最後の夏-ここに君がいたこと-

森の向こうは開けていて、光が見えた。
――頂上だ。
9年前、私たちが辿り着けなかった場所。
夜に来るのは9年振りだ。
陸の歩調が速くなる。
陸も9年越しで目的地についた気分なのかもしれない。
一生懸命、陸の歩調に付いていく。
「うっわぁ……」
一足先に着いた陸がため息混じりに呟いた。
「何、どうした?」悠太が陸に続き、その後ろに続いて私も頂上に出る。
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