ティアラ2

スッピン

コンビニで待ってくれていた透吾は、しばらくの間、強がって笑うあたしの顔を静かに見つめていた。
そして、エンジンをかけながら言ったの。今日はもううちに泊まれ、と。

マンションまで帰る途中、透吾は「買い物に付き合って」とつぶやいた。スーパーやホームセンターで生活用品を大量買い。長居したため、家に着く頃はもう空が暗かった。

「ん。冷蔵庫に入ってたやつだけど、まだ大丈夫だと思うから」
「……ありがとう」

受け取ったマグカップを鼻に近づけて、中身は何かと確かめる。

ほんのり香るりんごの匂い。そういえば……今朝、陽子さんが「アップルティーを作るわね」と言いながら、専門店で買ったティーパックの箱を見せてくれた。

「陽子さんが作っておいたやつだと思う」
「だろうな」

借りた家着は透吾のもの。Tシャツでもお尻が隠れるくらい、大きい。

「……この部屋は?」
「ん? あぁ客間。……と言っても、使ってるのは圭太だけどな。徹夜のときとか、ここで仮眠とらせてるんだよ」
「そうなんだ」
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