ティアラ2

いつまでもこのバラードを

窓の向こうは一面、緑色。風に吹かれた草は、太陽の日差しでキラキラ光る。

広い道に転がった石ころで、ガタガタ揺れる1台の車。その中であたしは、脱いだ帽子をウチワ代わりにしながら……。

「あーっつい!」
最高潮に苛立っていた。

「ちょっと太一、クーラーかけてる?」
「……かけてるよ」

ムンムンした車内。北海道の夏がこんなに暑いなんて思わなかった。

あ、皆さん……いつから覗いてたんですか? お久しぶりですね。

「百瀬美和、一週間前、パーマをかけました。美しさも健在、これからは大人の魅力も取り入……れっ」

「隣でブツブツつぶやくなって、暑苦しい……誰に話しかけてんだ、お前は」

パシッと叩かれた頭。あたしは鋭い目つきで篤紀を睨んだ後、気を取り直してまた窓の外を見る。

「……篤紀も暑いみたいです」
「うるせー」

写真集の撮影も無事に終えて、夏も終盤。

今日から3日間、あたしと篤紀は直子たちカップルと一緒に、念願の北海道でバカンスを過ごす予定なの。
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