魔念村殺人事件
プロローグ
 いつからだろう。
 きっと……心のどこかで私は「死」に憧れてきた。
「死」とは、もう何も考えなくてもいいと云うことなのか、それとも全てを忘れると云うことなのか。そしてそれはどんな裏切りや罪でも許すことが出来るのだろうか。生きている今、それを証明することは出来ない。

 あの人はもちろんそれを知ったのだろう。だからと云って、もうあの人に訊くことも叶わない。

 艶やかな髪、優しく真っ直ぐな瞳――。それは一瞬にして消されたのだ。あいつらの手で。

 私は今どこを彷徨っているのか。生きているのだけれども現実感が湧かない。果たしてこれが
生きていると胸を張って云えるのだろうか。

 だが死んでいないのは確かだろう。こうして「死」というものに対して考えている以上、生きているのは明確なのだ。

 では私に残されている使命とは? 

 やはり罪人をこの手で裁くことだ。あいつらをこの手で。綿密な計画を立てなければいけない。それはじわじわと苦しめ、恐怖を味あわせ、そうすることであの人の痛みをあいつらに思い知らさなければ。これはあの人ではなく私の意志だ。

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