魔念村殺人事件
第二話 魔念村へ
 八月五日当日、陸は春樹と空港で待ち合わせをした。

 魔念村があるK県までは飛行機で約二時間、その後レンタカーを借りて何時間かかかるらしい。

 空港までは電車で約一時間かかった。幸い飛行機は空いていたらしく二人分のチケットは買えた。


「悪いな。探偵は朝早いのが辛かったと見える」


 春樹が云うように、俺はさっきトイレの鏡で自分の顔を見た時、目は腫れぼったく髪の毛はくしゃくしゃだったのを思い出した。

 陸は髪の毛を手で直しながら腕時計を見た。


「探偵は朝が早くても時間に遅れたりしないのさ。そろそろゲートに入るか」


 陸が澄ましてそう云うと春樹は少し気が紛れたのだろう。笑い声を洩らした。

 そして陸達はゲートに入ると飛行機に乗り込んだ。前から三番目の二人席である。

 席に着き、シートベルトを着けながら、陸は春樹に訊いた。


「なぁ春樹、向こうへ着く前に訊いておきたいんだけれども、いいか?」


「何を訊きたいんだ?」


「今日、魔念村に呼ばれた他の五人についてだよ。春樹が知っていること、なるべく詳しくさ」


「何だ、そんなことか。それならお安い御用さ」


 こうして春樹は離陸した飛行機の中で五人について説明した。


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