魔念村殺人事件
第九話 車の中で(その二)
 雨音を聴きながら、陸は次に現れる人物を待っていた。

 すると、雨に打たれながらゆっくりとした足取りで正信が現れた。


「お、お待たせしました」


「どうぞ」


 陸が車に乗ったまま少し開けた窓からそう云うと、正信はドアを開け後部座席に乗った。


「いくつか質問をさせて貰うけれど、真優ちゃんに恨みを持つ人間に心当たりはないかな?」

    
 正信は黙ってかぶりを振った。

 いないということか……。

 陸がそう思っていると、正信は何かを思い出したように「あっ」と声を洩らし顔を上げた。


「何かな? 何か思い出した?」


「心当たりはありませんが、さっきのマント……」


 正信は云いかけてまた俯いてしまった。

 マントが何だというのか。マント? もしかして真優の遺体に着せられていた、あれか?

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