ボクがキミのおとうさん。

みちしるべ

――｢……母さん、母さん！｣


｢由、どうしたの？そんな大きい声出して｣


｢父さんの部屋から手紙が出て来たんだ｣


｢そう。で、読んでみた？｣


｢うん。なんか少し嬉しかった。俺小さかったから、父さんの記憶あんまりないんだ。母さんから見た父さんは、どんな人だった？｣


｢由も来年は高校生だし、そろそろちゃんと話をしようかな。父さんは、とっても弱い人だった。すぐに泣いちゃうし、深く考え込んじゃうし。でも、誰かのために頑張れる、すごく温かい人だった｣


｢へぇ……それで好きになったの？｣


｢うん。でも、それだけじゃないの。母さんね、父さんに出会った日、助けてもらったんだ｣


｢助けてもらったって？｣


｢命。あの時母さん、死のうとしてた。前に付き合ってた人がヒドイ人でね、毎日殴られてたの。そんな時に父さんが声掛けてくれた。赤の他人に、スカート短いぞ！パンツ見えるぞ！って｣


｢父さん、変な人だね……｣


｢うん。で、こっちがカッとなって、見ないでよ！って言うと、見えるんだからしょうがないだろ！だって。そんな言い合いしてたら、なんか父さんの事気になって来ちゃってね｣


｢じゃあ両想いだったんだ！｣


｢そうね……でも父さん度胸ないからしばらく待たされたよ｣


｢そっかぁ、父さん弱虫だね……｣


｢でもね、"ここぞ！"って時には決める人だったよ。そのお陰でおじいちゃん、おばあちゃんと仲直りできたしね。すごく感謝してる……｣


｢今、じいちゃんとばあちゃんが俺を可愛がってくれるのは父さんのお陰だね！｣


｢うん。でも、この手紙読むと凄くなつかしいな。由が産まれた日は大変だったよ｣


｢父さんが大泣きしたってやつ？｣


｢そ。手紙にも書いてあるけど、こんなもんじゃなかったんだから。父さん泣きすぎて、酸欠起こして倒れたんだから｣