フェイクハント
三・発見
 自宅の電話の音で目が覚めた涼は、無理矢理体を起こすとふらついたが、リビングにある電話を取りに、寝室を出た。


「はい、早瀬でございます」


「大変だ! 雪絵が、雪絵が殺された……」


 海人の言葉で一気に目が覚めた涼は、目を見開き受話器を落としそうになりながらも、必死で受話器を持つ手に、もう片方の手を添えた。


「ほっ、本当なの? 雪絵が殺されたって」


「ああ、静夫が殺された場所で、雪絵も……。俺捜査に戻るからまた連絡する」


 ツゥーツゥーツゥー。


 電話が切れた状態になっても、固まっていた涼は、受話器を耳につけたまま、頭の中では、雪絵が殺されたという言葉が、何度もグルグル回っていた。
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