ドライヴ~飴色の写真~
「先生、やっとわかったんだね。さすがだな。でも、もっと早く気づくんじゃないかと思って少しドキドキしてたよ。今となってはすごく良い刺激だったけどね」

 十雨くんは、あははっと声を上げて笑った。



 そう、十雨良人(とうめよしひと)くん。

 雨を英語で言うと、レイン。繋げるとトレイン。路面、電車を表すのだ。

 そして、良人…良い人。歩行者を表す。


 彼なら、この事件を通行することが可能だったのだ。


「先生、壁を見てみてよ」


 体を捻って辺りを見渡す。

 狭いワンルーム。おそらくアパートだろう。

 その7畳ほどの空間は、壁一面に貼られたの写真で余計に圧迫されている。




 ああ、全部私だ。
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