ドライヴ~飴色の写真~
軽率な探偵
   〈1〉

 お昼休みに篠さんに電話をかけ十雨くんの話をしたら、期待通りにすんなりと予定を組んでくれた。
 早速今日でも構わない、とのことだった。

 そのことを十雨くんに伝えようと、再び携帯を握り、貰ったメモを見ながら番号をポチポチと打ち込む。ぽ、ち、ぽ、ち。

 ……親愛なるアナログ様。
 時代はもう、あなたと私を置いてこのまま進み続けてしまうのでしょうか。

 なんとか、無事十雨くんの番号を入力出来たらしく、それでも聞き慣れない呼び出し音が相変わらず私を不安な気持ちにさせる。

 なんだ、この歌は……。175Rのような声だけど、よく聞いたら全然違うし。そもそもなんで電話をかけたはずの私がこんな聞き覚えの無い歌を聞かされているんだ。

 長い長い、約10秒後、謎の歌の代わりに聞こえた十雨くんの声に心底ホッとする。
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