雨色恋歌

友達

「皆さんこんにちは。担任になった飯岡里美です、よろしく」

今年の担任も女の先生らしかった。
まだ教師経験の浅い、若めの担任。去年はあまり関わっていなかったから、まぁいいか・・・。

飯岡先生は、私達に自己紹介をさせるつもりらしい。

―――・・・面倒くさい。

「佐伯蘭です。去年は1年A組でした。宜しくお願いします」

適当に、適当に。
誰だってそう。飯岡先生は新任だから、わかんないんだろうけど、生徒はみんなやる気ナシ。
新任の先生ってやる気に満ち溢れてて、なんでも真剣で、ともかく熱い。
それはそれでいいところもあるけど、大抵は面倒なことばかり始める。

始業式だってのに、もうお疲れ・・・

「佐伯サン~??!溜息なんかついちゃってどーしたのさ?」
千佳は、なぜか私のことを苗字で呼ぶ。あんまり親しくなかったからかもしれないけど。
明るくて、気まぐれで、おもしろい。

「おれ友達少ないから絡んでねっ」
思わず笑っちゃう。
友達少ないなんて嘘つきだなぁ。でもそんなことは言わない。
「もっちろん~そっちこそ絡んでよ~?」

千佳は、自分のことを「おれ」と言う。
髪も短め、サバサバした性格だから、違和感はないけど。

「あーっっ!あたしのこと仲間外れにしないでよー」
話に割り込んできたのは前の席の理沙ちゃん。
・・・こんなテンションの子だったっけ・・・??
「なんか理沙ちゃんって思ってたのとテンション違う~」
千佳も同じことを考えたらしい・・・
「あ、そう??あたし思い切り変人だからb」

考えは浅かったらしい。


この日で、学校生活を共にするグループは決まったようなものだった。

サヤカ、千佳、理沙ちゃん。
前から結構仲良しの香織、同じ小学校出身のエリカ、雪江ちゃん。
そして私。

この7人で残り2年間は生活する。

ただのグループで終わると、この時の私は思ってた。
だけど、私達7人は深く深く、混ざり合っていく・・・

本当に仲の良い、7人と呼べるのかは、わからなくても。


< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop