ﾓｳ ｽｷｼﾞｬﾅｲ

一年の秋

夏の大会は県大会まではいけたが、初戦敗退…三年生は引退し、部長は山田先輩になった。

そして私たちは春の大会にむけ練習に励んでいた。

「裕美子！ペースが落ちてるぞ！気合いいれろよぉっ」

永井先輩（望）は笑いながら言った。

「了解でぇす！」
苦笑いしながらペースを上げた。
練習はきつい。でも楽しい。
それは先輩方がフレンドリーだったこともあるだろう。

「裕美子髪ちょっと切った？」
と山田先輩は小さなことも気づいてくれて、そして私に笑顔をくれる。

永井望先輩もいつも笑っていた。
「裕美子っもっと走らないとその脂肪はとれないぞ！」
「きー！！」
というか私をからかっていた。

他の先輩も私たち一年を可愛がってくれた。


「お前はいじられ役だな」
と笑った誠は私の肩をぽんっと叩いた。

誠は同じ一年生で中学生の頃から山田先輩が好きで追ってきたらしい。少し前に一緒に帰ったときに教えてくれた。

「想いを伝えられなくて…ほんとに後悔して女々しくも追いかけてしまったわけですよ」
冗談っぽく言ったが、笑うところではないと思った。

「私好きな人できたことないんだ」

「初恋もまだかぁっ子供めっ」

「うるさいっ」
それには私も笑った。

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