街で君の唄を聞いた

存在価値



――ザリッ ザリッ ザリッ



砂を踏むのは馬。

馬に乗っているのは、あたし達。

それはいいんだよ。それは。



「はは、そうなのか」

「…恐るべし、月読族…」



馬のこともわかんのかよ。
てか、何で馬と人が話してんだ。


あたしの馬と!!




遡ること、約30分前――。




“は?あたしの馬に乗る?じゃああたしはどうすんだよ”

“一緒に乗る?”

“…お前の口腐ってんじゃねぇのか”

“正直者が。誰かの馬に乗せてもらえばいいのに”

“他人事みたいに言うなよ!”

“まあまあ♪そんじゃさ、ヴィーフェルに乗せてもらえよ。森まで来るのに、アイツの馬乗ったんだし”

“そりゃ乗りましたけど、レザとメレナは何やらかすか分からんし、あとの三人はまだマシだったから、取り合えずクジで決めただけだし”

“じゃあ今日もクジで決めるか”

“つか!何であたしが降りなきゃいけないのか理解できん”

“はーい、そこの男ー。冷灯を乗せるべくクジやるからー”

“ちょっと待てぇぇえ!!”





…で、結局ラグアスと一緒に…。

は、ありえん。



「冷灯は天の邪鬼なのか正直者なのかハッキリしろよ〜」

「どうでもいいー」



何かと読みとられるから、軽率なる行動、思考はやめ。

もう何か思考回路の所シャットアウトしたくてたまらない。
こう、ガラガラガラーッて。



「馬ー鹿ッ」

「おーい、誰変わってくれないカー。コイツウザすぎてもうヤだー」

「今度はハッキリ言ったな」






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