貴様!何様?会長様!?
(( 零*side ))
“誰がなんと言おうとも、私が零会長を信じます”
…ふん。
猫の分際で言ってくれる。
そういう俺は、立ち聞きをしている分際だ。
最後の方しか聞いてはなかったけど。
「…零、いるんだろう?」
いつから俺がいることに気付いていたのか、吉野がいなくなって1人になった沢口が、俺を呼ぶ。
「立ち聞きなんて、趣味悪いなぁ」
「…なんとでも言え」
沢口は俺のそばまできて、足を止めた。
「君、これから選挙だろ?随分と余裕なんだね」
俺の出る時間まではまだあるし、別に余裕なわけではない。
かといって、焦っているわけでもない。
「…ほんと零には、敵わないよ」
俺は沢口を見る。
「君から華奈ちゃんを遠ざけて意地悪してみたけど、かっさらおうだなんて、やっぱり無茶だったかな」