偽りの結婚
ラルフが出て行った部屋―――――
「っ………」
ベッドから起き上がり、熱くなった頬をおさえる。
「一体…何だったのかしら…?」
再び静寂の中に一人佇み、先程のラルフの行動を不思議に思う。
あれではまるで私を労っているようだった。
確かに人として病気の人間を気遣うのは分かる。
しかし相手はラルフだ。
気遣うのはあっても、付き添って看病することなどありえるだろうか…
違うわ…そんなことない。
だって、ラルフは私をカモフラージュとして王家に相応しいパートナーを探しているのだから。
きっとラルフは私を連れて行ってあんなことになったから責任を感じているだけ。
そう言い聞かせて、再び横になる。