その日の午後、私は再びグレイク侯爵の屋敷に来ていた。




「どうぞこちらへ、ご案内いたします」


グレイク侯爵家の執事に案内され、屋敷内へ足を踏み入れる。





「あっ、はい。よろしくお願いします」


前回グレイク侯爵家に来た時は湖の畔で行われたため、屋敷内に入るのは初めてだった。



屋敷内に一歩踏み出すと、異国の地の美術品や、落ち着いた色で紡がれた絨毯が迎える。

隅から隅まで華やかで豪華な装飾がされた調度品の施された屋敷は、侯爵家の中でも権力をふるっている証だろう。



あの時はグレイク侯爵とも夫人ともお話出来なかったから、今日こそご挨拶をしなきゃ…


ラルフがあんなにも一方的に王宮へ帰ることを告げて帰ってしまったんだもの。

いくら王族と言ってもあれは失礼にあたるわよね…

にもかかわらず、こうしてサロンにお呼び下さった夫人にお礼を言わなくちゃ。