偽りの結婚




「………。」


それ程のことならば、聞けば絶対に止めに入るということか。

ベルナルドがどういう立ち位置につくのか、考えを巡らせていると…




「大丈夫です。私達がシェイリーンを悲しませることはしません。」

ラルフの思考を読んだかのように答えるベルナルド。


「それに、私がこの計画に関わらなければ、一週間後、シェイリーンは貴方の元へ戻ってこないかもしれませんよ?」

ベルナルドは、そんなに重要な役どころなのだろうか。




どちらにせよ、ラルフの選択肢は一つだった。






「今は、その言葉を信じる事にしよう」


シェイリーンを再びこの腕に抱けるなら、少しの事は我慢しよう。

この兄妹たちならば、シェイリーンを傷つけないだろうから。



目の前のこの男に助けられるというのは少々癪だが・・・






ラルフは、多少の不安が残るも、ノルマン兄妹の言うことを信じ、屋敷を出た。






< 490 / 561 >

この作品をシェア

pagetop