ベルナルドが出て行って、シンと静まり返るノルマン邸の一室。

未だ慣れないベッドの上に座り、窓の外の月を見つめる。

アリアは客室用の部屋を使ってほしいと言ったが、それは丁重に断った。

宿を借りている身で、そんな豪華な部屋には泊まれなかったからだ。

しかし、この使用人の部屋も以前のスターン家に比べれば十分すぎるくらい立派な部屋だった。

ふかふかのベッドがあって、書庫もあって、友人たちが近くにいて。

十分すぎるくらいの幸せがここにあるのに…私の心はぽっかりと穴が開いたように、何かが抜け落ちていた。


それが、何なのかは分かりきっている。





昨日の今日で寂しいと思うなんてダメね…



冷たいシーツを手で撫でながら、王宮の寝室を思い出す。

キングサイズのベッドは広すぎたけれど、体の大きいラルフと寝るとちょうど良かった。



「ラルフはどうしているかしら」


ポツリと呟いた言葉に、ハッとする。



また…だわ……

離婚をすると手紙に書き残して、王宮を抜け出してきたのはラルフを諦めるためなのに。

ふとした拍子に頭によぎるのは、いつもラルフの事ばかり。