偽りの結婚




ノルマン邸を出た日の夜―――――



「父上、母上、話があります」


シェイリーンがいない食卓で食事を取った後、珍しく両親を呼びとめた。




「なんだ、お前から話とは珍しいな」


いつにない真剣な表情の息子に、エドワードは驚いていた。



「まぁ、聞いてあげましょう。妃に逃げられた間抜けな息子の話を」


リエナはニッコリと笑っているが、目が笑っていなかった。

シェイリーンを連れて戻らなかった自分にがっかりしていたのだろう。




「母上…いや、今はよしましょう」


間抜け呼ばわりされたことに反論の言葉を上げたかったが止めた。

その時はリエナと口論をしている場合ではなかった。




「今日はその妃についての相談です」


二人の瞳を交互に見据えて話を切り出した。

すると返ってきた言葉は期待していたようなものではなく…



「また妃をもうけるのか?妃をコロコロ変えるのは感心せんな」

「またフラフラと誰にも絞らずに過ごす気じゃないわよね?」


言いたい放題の両親。



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