偽りの結婚




「あぁ・・・シェイリーンならあそこに・・・。」

先程、ウォール侯爵とシェイリーンが踊っていた場所に視線を移す。



しかし・・・

「っ!・・・っいない。」

視線の先にはウォール侯爵が一人。

シェイリーンは、もう、そこにはいなかった。



「どこへ行ったんだ?」

焦るラルフは、ホールを見渡す。


まさか、帰った・・・・?



くそっ・・・

嫌な予感に、心の中で悪態をつく。


「ソフィア、すまない、しばらく席をはずす。」

厳しい表情で、告げるラルフ。


「かまわないわ。早く行ってあげて。」

ソフィアは、すぐに事態を察知してくれたようで、真面目な表情で答える。

察しの良いソフィアに感謝し、ラルフはその場を去った。




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