偽りの結婚



「承諾をしてくれるなら王家所有の書庫を自由に使ってかまわない。ノルマン家の書庫では限界があるだろう?その点、王家の書庫は蔵書数も種類も国一だ。目的の本がないなんてことはないはずだよ」


確かにノルマン家の書庫では限界がある。

昔ならばスターン家とノルマン家の書庫で満足していたが、今やその本も読みつくしてしまうほどだ。

王家の書庫に入れるというラルフからの提案はとても魅力的だったけど…




「だからと言って、偽りの結婚などできません」


余りに唐突な話だし、私と王子が結婚するなど非現実的だ。

国中の女性を敵にまわすことになるだろうし、なにより偽りの結婚などしたくはなかった。





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