偽りの結婚
「っ!!起きていたの?」
まだぐっすり眠っていると思っていただけに驚く。
「あぁ、おはよう、シェイリーン」
まだ少し寝ぼけているのか、欠伸をしながら答えるラルフ。
朝日に照らされ金色に輝くラルフの髪にみとれていたからか、欠伸でさえ様になっているからか、頬が熱くなったのはきっと気のせいだ。
「君が起きた時に目を覚ましてしまったんだ。僅かな振動でも起きるような体になっているんだ。一応、武人でもあるからね」
「そう、それは大変な癖ね。よければ寝室を分けましょうか?」
承諾してくれることを願ったけれど、そう易々とうまくはいかない。
「いや一緒でかまわない。別々の寝室じゃ夫婦仲が疑われるだろう?」
ラルフは意外と慎重だった。
こういうところは徹底しているのね。
「それよりも…先程呟いていたことの意味を教えてくれるかな、シェイリーン」
横になったまま、肘を立ててこちらを見ている。
爽やかな朝に相応しいニッコリ笑顔が少し怖かった。