王子様は寮長様

思い出






そして、

あの海旅行から数日がたち、夏休みも中盤となったーーー………………





「あ~!!暇ー!」



私はベランダから叫んだ

私の声にはセミだけが応えている。


真上からは日差しがサンサンと降り注いでいた。



「みんな、早く帰ってこないかなぁ…」



夏休みの皐月寮は誰もいなかった。


そう。誰もだ。



相馬先輩を含め、みんな実家に帰っていた。


普段はベランダに出ると人の声がしていたのに、
今は私の声が淋しく響くだけ。



つまんない…。

ひとりの長期休みなんて毎年のことなのに…。


今年はこんなに寂しく思うのはいつも人がいる環境に慣れてしまったからかもしれない。



「散歩でも行こう…」



寂しさを紛らわすため、私は散歩に出かけることに決めた。



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