「このコーヒーカップ、置いて帰ってもいい?」

リビングのテーブルに向かってパソコンを操作している濠の背中に聞いてみる。

「ん…?いいけど。
好きにしていいし…」

振り返って、私の手の中のカップを確認すると軽く笑ってそう呟く濠の言葉に笑い返すと。

「会社の近くに可愛い雑貨屋さんがオープンしててね…。
ついつい買っちゃった」

ふふふっと笑って。

食器棚にカップを置いた。

昨日会社の近くにオープンした雑貨屋さんに並んでいたコーヒーカップ。

白地に水色の水玉模様のカップは、手の平になじみが良くて。
手にした瞬間に気に入ってしまった。

濠の好きな緑色の水玉もお店には並んでいたけれど、買ったのは水色の一つだけ。

「…入った…」

私が揃えた食器で溢れ返る棚に、そっと置かれたその水玉は、他のアイボリーで統一された食器とは異質で、やけに浮いている。

なんだか居心地悪く寂しそうにしてるカップ。

何回、これでコーヒーを飲む事ができるんだろう…。
自分の中の本来の弱い心がまた揺れてしまう…。

だめだな…。

迷って悩んで泣いて。
決めたはずの事なのに。
それでも弱い私の心。

濠との思い出ばかりが私を包んで…。
身動きがとれないよ…。

この作品のキーワード
溺愛  社会人  切ない  恋人  甘い  両想い 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。