溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
好きを何度も感じる




フランスでの研修も半分を終えようとして、ようやくホッとする。

海外に出張なんて慣れてはいるけれど、今回はやけに長く感じる。

ホテルの部屋の窓から眺めるフランスの夜景は、どこまでも単なる夜景ってだけで、何の感慨もない。

透子と二人で眺めるのなら、また違って見えるんだろうけどな…。
二人なら、フランスだろうがイタリアだろうが…たとえ日本の片田舎の暗い夜景だって堪能できるはず。

そんな事が頭をよぎって小さく苦笑してしまう。
透子が一緒に来れたならな…。
何度もそう思いながら、その度に自分を落ち着かせて。

今回の一週間が、俺と透子の未来をどう導くのか、幸せへと繋がるのかは賭けで。
俺にはただ透子の気持ちを信じるしかない。

昼間、食事の合間に慌ただしくかけた電話で、予想通りに混乱していた透子を思い出すと思わず心が和む。

「会いたい」

と言う透子は、その感情以外に何も持たないように悲しそうな声を響かせていた。
一週間くらいの出張だったら、どんなに寂しくても我慢して俺の帰りを待つのに、今回は…。

俺が残した『宿題』に混乱しながら、毎日…いや四六時中俺の事を考えてしまうに違いない…。

透子が俺に秘密を持った事実を受け入れるまでにはかなりの葛藤があった。
出会ってから今までに、透子が俺に秘密を持つなんてなかったのにな…。

あ…。一度あったな。

初めて会った時、単なる中耳炎で入院してると思った俺の勘違いをそのままにしてたな…。

まさか心臓の手術を控えた大切な時期だと知らず、つらくあたったりもした。
< 104 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop