溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
ロビーに下りると、のんびりコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいる相模さんに気づいた。

「お待たせしました。
わざわざ来てもらった
うえにすみません」

相模さんは、頭を下げる俺に穏やかに笑うと

「いいよ。最近会社に軟禁状態で仕事してたからちょうど良かったよ」

相変わらず、男の俺が見ても感じずにはいられないカリスマの光。
建築家としては今や昇る所まで昇った感のある相模さんだけれど、普段漂わせる空気はのんびりとしていて暖かい。

「…で、今年もこの時期になったから…。
今週の土曜日にマスコミに発表だから、それまでは一応内密に…。
とは言っても、うちの社内じゃもうお祝いモードに突入してるし…意味ないんだけどな」

苦笑しながら差し出されたのはA4の社用封筒。

あぁ…今年も相模さんの会社の建築家が受賞したんだな…。

封筒の中から取り出したのは。

やはり。

「設計デザインコンクール」の受賞者一覧。

大賞を含めて三名の名前。
受賞式が俺の働くアマザンホテルで毎年行われる為に、事前に必要な情報を得ている。
コンクールの理事を務める相模さんと受賞式を取り仕切るこの季節行事。

今年もつつがなく進めていこうと思った俺の目に入ったのは…。

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