「ただいま!あれっ、お父さん、帰ってたの?今日は早いね」


父が久しぶりに、果林より早く帰宅していて、果林は何だか新鮮な気分になった。


父は気の長い、穏やかな性格で、心療内科医は天職なんじゃないか、と果林はよく思う。46歳にしては若く見える方だ。


友人が多く、患者さんからはクリニックに手紙が届く。


その手紙を読むと、父が患者さんに言う言葉の一つ一つが、心からのものであって、それが患者さんに希望を与えているのだと、果林は実感する。


果林自身も、今の仕事を始めたばかりの頃は、希望と違う仕事に思い悩んでいた。

そんな時、何も言わなくても、父は励ましてくれた。

「果林の優しい雰囲気で、きっとまたデパートに来ようと思うお客さんが増えるよ。

それに、あのデパートは、エレガントな果林にピッタリじゃないか!!」


「何、エレガントってー!」

果林は思わず笑ったが、気付けば重たい気持ちが、軽くなっていたのだ。

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