ほっぺた以上くちびる未満
 
「……嫌い」


喉の奥から絞り出すような声で、今にも泣き出しそうな表情で、そないなこと言われたら、さすがに胸がチクリと痛む。


あーあ。


嫌われてもーた、どーしょー。


感情が表に出ないて、こないな時大変やねん。


結構反省してんねやけど、そう見えへんやろ?


彼女にふと視線を落としたら、すがるような目で見上げられて、思わず息を呑んだ。


「そういうのは……想い合ってないと、しちゃいけないんだよ」


震える声で紡がれた言葉、“想い合って”の部分が、心なしか大きく聞こえたのは気のせいやろか?


「私は……本当に好きな人としか……そういうこと、しない」


 
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