雪情
第10章 詮索の銀世界
【カモシカー1】


吹雪いていない
外の景色は
先程までとまるで違い、

平地に積もった雪は
見ていて悪くなかった。




むしろ
心地よいくらい
一面の銀世界であり、

夜だというのに
道が明るく見えた。




本当に
こんな幻想的な世界に、

殺人犯など
忍んでいるのだろうか?




少し複雑な気持ちで、
田崎達は一歩一歩と
歩いていた。




懐中電灯は
家に一つもなかったが、

雪の明かりのおかげで
夜でもスムーズに
進めることができた。




「さっきまで
あんなに風が強くて
進めなかったのに、

今は
こんな簡単に進める
なんて
気分爽快だな。

なあ刑事さん」




白井は
前にいる田崎に
声をかけた。




どことなく
機嫌が良さそうだ。




その後ろに
大久保と小川が
付いてきている。





確かに
この踏みならしていない
一面の雪は、

幻想的に綺麗であった。






「気分は悪くはないな~」



「それに
声もよく聞こえるよな~」





と、白井は
どこかで拾った小枝を
振り回しながら
言葉を発し続ける。




まるで
遠足気分のようである。




そんな物持っていたら
いざと言う時に
銃を撃てないんじゃ
ないかと
田崎は思ったが、

何か見ていて面白いから
放っておこうと
思っていた。




外に出るのを
嫌がっていたのに、
何か面白いことがあると
機嫌が直る。




まるで子供である。




「さっきまで出るの嫌で
あんな駄々こねたのに…」




田崎はボソッと呟いた。




「おいおい、
聞こえているぞ。

あんたこそ
さっきまで緊張してさ」




白井が言うと
また田崎は少し耳が
赤くなった。




「いいから黙って登るぞ」




しかし、
田崎がそう言っても
白井は黙る様子はない
< 120 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop