雪情
【雪男ー2】


「課長は
この村ご存知なんですか??」


「確か数年前、
殺人事件があった村だ。
未解決のままの
はずだが…」



「もしかして、
その事件に巻き込まれた
可能性があるのでは?」



と内藤は心配そうに聞く



「安心したまえ
それはない。

何故かその村の山でしか
事件が起きない
らしいからな」



「山……ですか?」



「不思議でな。
この時期山に登ることは
村では禁止されていて、
登ったものは何者かに
命を奪われるらしい」



「そんな危険な犯人、
よく警察の手から
逃れましたね」



「そうだな。

大掛かりな
山狩りをしたが
結局手掛かりもなく、
まんまと逃げられた
ワケだ」



「そうですか……」



内藤は
不安で落ち着かなかった



「そう心配しなくとも、
この時期
山に登ることなんて
まずありえんよ」



そう課長は
笑みを浮かべながら
言った。



「どちらにしろ
連絡がないのは心配です

私、村まで様子を
見てきます」



内藤がそう言うと、
課長は頭をかいて



「しかし、
この時期あの村では
大雪で、
道路も電車も通行止めに
なっている可能性は
高いぞ。

山を越える道しか、
帰ってくる手段は
ないかもしれん」



それを聞くと
内藤は焦った。



田崎は
雪で戻って来られない
のなら、
どんな手段ででも
帰ってくる
性格だというのを
知っていたからだ。



山越えをする………



あの人ならやりかねない



「行けるとこまで
様子を見てきます」



そう言うと、
内藤は駆け出して
行ってしまった。



課長は
内藤を見送った後、
窓を眺めた。



「今年は
記録的な大雪に
なりそうだな……」



夜なので外は暗く、
雪はこの街にも
すでにたくさん
積もっていた。






そして、
その頃田崎の方は………
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