雪情
【雪男ー3】


…田崎は
平謝りをしていた。



「いや~
誠にすみません!!
拳銃を向けたりして」



田崎は何度も頭を下げた



「いえ、
もう過ぎたことですから

気にしないでください」



と丁寧そうに
男の一人が言う。



「おいおい、
甘いぜ大久保。
謝って済む問題じゃ
ないだろ?
もう少しで俺らは
撃たれるとこだったん
だぞ」



グラサンをかけた男は
そう言った。



「そうそう
小川の言う通りだ。
もう少し遅ければ
危険を感じて、
逆にワシが発砲して
いたよ」



自分の銃を撫でながら、
ヒゲを生やした男は
言った。



「荻さん
まあ落ち着いて。

もう許して
あげましょうよ」



大久保と呼ばれる男は
なだめながら
服を脱いでいった。



なるほど…

ごついと思われた
この三人の男達は
何重にも服を着ていたので
そう見えたが、

実際に体つきは、
皆普通の体格である。



三人が持っている銃は
猟銃のようで、
筒が長い。



「しかし、
こんな山奥の中、
三人で何をしてたん
だね?」



田崎は
三人を見ながら話した。



「いや、四人だぜ」



小川と言う男は、
濡れたグラサンを
拭きながら答えた。



「そうです。
今、外のトイレに
もう一人います」



大久保と呼ばれる男は
外に指を指した。



「ほう、
外にトイレがあったの
かね」



「ええ、
小さな物置のような
小屋の隣に、
くっついてあるんですよ」



田崎達は、
ここに来るときは
そのような小屋が
あることに
気付かなかった。



雪で見えなかったので、
よほど吹雪が
強かったことが分かる。



「すると、
ここはやはりあなた方の
家ですかね?」



「いえ、
もともとはただの休憩所
でしたが、

私たちが
毎年よく利用するので
勝手に食料を置いたり、
寝泊まりしてるのですよ」
< 27 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop