雪情
【誘惑ー11】


入ってきたのは
荻原だった。






「小川が
川上と話がしたいから
呼んでくれだと」







と荻原が部屋を見渡す。



そして



「ん?
川上はどこ行った?」





と田崎達に聞いてきた。





田崎は



「川上さんは
荻原さんと小川さんの
部屋に行ったのでは
ないのですかな?」





「いや、さっきから
小川と二人きりだったが」






荻原がそう言うと、
田崎と大久保は顔を
見合わせた。







「私も
てっきり川上さんは、
荻さん達の部屋に
行ったのとばかり
思っていましたよ」






「二人が
隣の部屋に行った後、

何も言わず
この部屋を出てったん
ですぞ。
荻原さん」






「むう……
じゃあ下にいるかな」






荻原はそう言うと、
一階に降りて行った。






しばらく田崎達は
その場に突っ立っていた







しかし、
すぐに荻原は
田崎達の部屋に
戻ってきた。







「どうでした?
川上さんの様子は」





田崎がそう言うと、
荻原が首をふりながら



「大変だ!
この家のどこにもいない」



と答えた
< 49 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop