雪情
【小さな応援ー2】


大事な人の喜ぶ顔を
早く見てみたい……





玄関に行き、
靴を履いた。





早く………会いたい…





外に出ると、
とても静かだった。





なぜ雪の日は
町全体が静かになるの
だろうか?





車の音も、
人の気配も、
一切しなかった。





歩いて行こう………





途中で出会えるかも
しれない………





静かな町を歩き出した。





ジョリ、ジョリ
ジョリ、ジョリ





雪の道を歩き、
新雪を踏む時に鳴る
特有の音が聞こえた。





まるで、
その音しか
この町には鳴っていない
ようだ。





携帯が鳴った。





今、
一番会いたい人からの
電話である。





電話に出て話をする。





そして、
すぐに電話を切った。





相手は、
すぐそこまで
来ていると言う。





やった………

早く行って…
早く行ってこの手で
抱きしめてやりたい……





胸が躍る。



自然と早足になる。





そして
その早足も早くなり、
気付いたら走っていた
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