雪情
【小さな応援ー9】


もう何年も
我が身を守ってくれた
拳銃を見ると、

傷一つ付いていないのが
分かる。






身を守ってくれたと
いっても、

威嚇のために
犯人に見せる程度にしか
使っていないのであるが

それでも
身を守ってくれたことに
変わりはない。






実は
田崎は刑事になって、

一度も
拳銃を発砲したことが
ないのであった。






なので、
大久保達に比べたら
銃の腕は劣り、
とても一流とは呼べない





しかし、
田崎は刑事である。





一般市民を守ることが
仕事と言っても
過言ではないので、
気を引き締めて、
万全に注意しなければ
ならないのだ。






そんな銃を手に取り呟く






「なん十年も
刑事を続けたが、
こんなことに
なるとはな………

やっとお前を使う時が
来たみたいだな」






田崎は考えていた。





もしもの時に、
犯人に迷わず
発砲できるだろうか?





もし、
誰かが襲われた時は
発砲しないわけには
いかないが、

田崎は銃を撃つには
優しすぎるのだ。






その緊張で汗が出てきた






しかし、
そんな田崎の性格を
白井は見透かしていた。






「おい、
あんた銃撃ったこと
ないだろ?」






いつの間に
隣に来ていた白井が
話しかけてきた。






「何故だね?」






「見ていて分かるから」






「……見て、
分かるかね?」






「ああ、
なんとなくだけどな」






やはり他の人から見ても

田崎の性格は
分かるらしい。





いや、
特に白井だけが
田崎の性格を
掴んでいると
言った方がいいだろうか





出会って
たった数時間であるが、

白井は田崎の性格を
知り尽くしたのだ
< 98 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop