アクアマリンの秘密

飛べない翼

* * *

あたしがシップの中でぼーっと過ごして2日が経った。
まだまだ状況がうまく飲み込めないでいる。

それなのに、いきなりがくんと着陸するシップ。


「到着だよ。最初の場所は…。」


白斗さんに誘導されて、あたしは桃依の次にシップの外に出た。

あたしの目の前には、茫然とただ立ち尽くす桃依。



「ここが…ボクの故郷なんだね…。」

「え?」

「ここがボクの故郷…エバーラスティングウイング…。」


言葉が…出てこない。

あまりにも目の前に広がる風景が酷すぎて、思わず目を背けた。
それでも視界に飛び込んでくるのは枯れ果てた草木、乾いた土。
瞼を閉じても全く意味をなさなかった。

あたしはがくんと膝をつく。


「ここが…桃依の…故郷…?」


あたしが触れた地面から、夥しいほどの記憶が舞い込んでくる。
その凄まじさに、あたしは意識を手放した。


< 35 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop