恋愛一色
~第三章・終盤~
俺はこの時なにも思わなかった。


真美に違和感など感じられなかった。

だが、またゲームは始まる─…


俺と千尋は夕日に背を向けて歩いていた。


手から伝わる千尋の体温を感じながら俺は歩いていた。


千尋は学校から出たときから何も話さない。


黙ったまま、俺の後ろを歩いていた。



…俺何かした?


俺はそれを確かめるため、歩くのを止め、千尋の方を振り返った。


夕日のオレンジ色をした光が眩しくて、俺は少しだけ目を細める。



『千尋?どうした?なんでさっきから黙ったままなんだよ』


千尋は下を向いて、今にでも泣きそうな顔をしていた。


そして一回では聞き取りにくい小さな声で呟いた。



『…心配…』



『え?』



『私すごい心配…響が離れていきそうで…』


次第に千尋の瞳が潤っていく。


俺はただそんな千尋を見つめることしか出来なかった。
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