ADULT CHILDREN

甘えられる場所

いつも家ではのけ者扱いの私にも
弟以外にひとつだけ甘えられる場所があった。


それは祖母。

母の母だった。


毎年夏休みになると一人で電車に揺られ祖母の家に向かい、2週間は必ず泊まっていた。

駅に着くと私が降りる駅のホームから笑顔で手を振り
駆け寄ると手を繋いでくれた。


冬やお盆には祖母が家に泊まりに来る。
大体7日から10日程。

私もよく一人で駅まで祖母を迎えに行った。


1分でも、1秒でも祖母と過ごしたくて。


祖母に会えた時の幸せといったら表しようのないくらいのものだった。


祖母は母とはまるで違った。

顔も似ていない。
色が白くて、細くて、綺麗で。

祖母は特別私を可愛がった。
私だけを。


まるで私の寂しさに気付いているかのように。



祖母の家に泊まりに行くと、私は1日中祖母の隣にいた。



ご飯を作っている時も、掃除をしている時も。


片時も離れようとしなかった。


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