Dangerous city
chapter1
ホテルの外…遠く離れた場所から、衝突音が聞こえたような気がした。

車同士がぶつかったような、交通事故のような音。

思わず窓の外を見ようとするが。

「ほらぁ、恭一っ」

俺の顔を両手で掴んだハルカが、無理矢理に自分の方を向かせた。

「今日は休暇なんでしょ?何か事件が起きても気にしなくていいの。この街にだって警察はいるわ」

…ハルカの言葉も尤もだ。

そもそもこの街は俺の管轄ではないし、俺は事故処理担当の交通課ではなく、テロ犯罪を追う公安外事四課の人間だ。

その職務も、今日は休んでいる。

旅行の間だけでも仕事の事は忘れ、ハルカにたっぷりサービスするというのが、彼女との約束だった。

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