『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
プロローグ
生きていなければ、なにもできない。
それを欲することさえ叶わない。
既にこの世に存在せず、この物語を書くことがなかったかもしれない私。

病気から奇跡的な回復を遂げた、大きな事故に遭い生死の境を彷徨った、過去に『死』を意識した経験を持ちながら現在でも『生』がある人間はこの世には数え切れぬほど居るだろう。

私は海外で脳死肝移植を受け『生』を保っている。
一言で言ってしまえば簡単なことだが、
受け入れてくれる国の存在、
そこへ行くための体力、
諸々の経済的問題の解消、
移植ドナー、家族やドクターを始めとする心身共に手術が可能な状況を整えてくれる人々、
それに応え生き続ける自身の覚悟とその意志の継続、

いまの私の『生』はこれらの要素の上に成り立っている。

身体に症状が出てから手術まで、
五年もの間、私は幾多の壁にぶつかった。
それを乗り越えてゆくことで強い自分になれた気がする。

その頃から私は、自身の体験や同士達の過酷な生き様をより意義のあるものにする、
移植医療の環境をより良い方向に導く、
そんな使命感に駆られ始めた。
また、かつての私と同じように、
いま現在壁にぶつかりもがいている人達にとって、
私の経験談が一介の助けになればとの想いも芽生え、それを書き記し世に出すことを目標とした。

そして、エンターテインメント性の高いモノで迫ることができれば、より多くの人の目にとまると、物語を書き起こすことにしました。

この物語がきっかけとなり私の使命が全うできることを信じ、
国内外のたくさんの方々に与えていただいた第二の人生を、私はこれからも生きてゆく。

これから読み進めて頂くこの物語は、現実を基に執筆したフィクションです。

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