狂愛ラバーズ
時刻は19時を差そうとしている。




仕事が終り、直でこの料亭に来た。





仕事ではなくプライベートで。





「あの……新名様…。」


「相手がいないんじゃ仕方ないですね。今日は帰ります。」


「「申し訳ありませんでした。」」





踵を返し、今来た道を戻って行く。





今日、僕はお見合いをする予定だった。





相手は僕の勤める会社の社長の娘さんで17歳と言っていた。





今さっきぶつかった子が正に社長の娘さんなわけで……逃げられてしまった。





まぁ、それはいいとして…社長に何て報告をしようか…。





娘さんに逃げられた、なんて言えないし……。





はぁ………困ったな。





珍しくため息が漏れてしまう。





今回のお見合いは社長自ら言い出した事で、断る理由もないから承諾した。





恋愛に淡白な僕は誰でもいいというわけじゃないが、社長みたいに相手を決めてもらうと楽で助かる。





社長になんて報告しようか……。




乗り込んだ車のバンドルに項垂れると2度目のため息が漏れた。




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