隣人の狂気

逢魔が刻

振り向きかけた彼の右膝を躊躇なく蹴りつけた。

横側斜め上から足の裏で体重をかけ踏み潰すように。

全力で。

最初に足を狙ったのは逃げられなくする為だ。

まるで固い飴を無理やり噛み砕いたような音と感触を全身で味わった。

突然膝を砕かれた彼は、悲鳴をあげながら崩れ落ち荷物と共に地面に転がった。

俺はますます焦った。

彼の悲鳴が今まで聞いた事がないほど大きく、すばらしい音量で辺りに響きわたったからだ。

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