reverse【完】
「課長は奥さんが一番なんじゃなくて、自分自身が一番なんですね…」


「…………え?」




「だってそうでしょ?奥さんに内緒で、好きでもない私と食事したり、デートしたり…。」


それは…
覚えていないとはいえ、俺の犯した過ちの責任だから



「私が責任とれと言ったからですか…?そうすればバラさないと言ったからですか?」


俺は美咲との家庭を壊したくない
だから…こうするしかなかったんだ


「奥さんに対する…家庭に対する責任より、好きでもない私への責任を選んだんですよね?」


「………」


何も言えなかった

美咲に…
子供たちに対する責任……


「私は結婚していないからわからないけど…。女として、奥さんはそんな責任の取り方を望んでいるのでしょか」


頭をガツンと殴られたような衝撃が走った


「結局課長は、自分が可愛いだけです。私が責任を取れと言ったから…と私のせいにして、何もなかったように奥さんに接して。………ズルイです」


「………」


「私は課長が好きです。だから、どんな形でも一緒に入れることが嬉しい。間違っていると言われても、この気持ちを抑えることなんて出来ないんです。」


「……ごめん」


「いつまで奥さんに黙っているつもりですか?いつまで私の気持ちを無視してこうして会ってくれますか?」


「それ…は…」


もう何もかも分からなくなった


「私、自分から別れるなんて言いませんよ?どんな形でも課長とこうしていたいから」


俺は…何をしてるんだ




「明日は…会社休ませて下さい」


そう言って、車を降りアパートに入って行ったエミを、俺は黙って見つめていた


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