クルースニク
第七章
また今日もショーウィンドウに張り付いて買えない服を眺めている私。

この服を買うには一ヶ月分のお給料が全部無くなっちゃう。

「はぁ~」

また今日も服にサヨナラを言って回れ右。

「わッ!??」

人にぶつかった。

「すっすいません」

私の謝罪なんて無視して相手はショーウィンドウを見ている。

何だコイツ。

「すいません、、、あの、大丈夫ですか?」

もう一度謝罪をする。

相手の顔なんて、まともに見ていない。

「あの服欲しいんでしょ?ずっと見てたもんね」

クスッと笑われた。

「恥ずかしいところを、、、」

その時初めて相手の顔を見た。

目が合う。

赤いカラーコンタクト、、、。

「俺が買ってあげるよ」

「えっ!?」

予想外の言葉。

強引に手を引っ張られ店内へ。

レジを通過し、欲しかった服の入った紙袋を受け取る。

「本当にいいんですか!?」

「うん」

歯を見せて笑う顔はとても素敵だった。

「あの、、、お名前を教えて下さい」

「俺は櫻河亮。君は?」

「私は椎名杏子(シイナキョウコ)です。何かお礼をさせて下さい」

「じゃあ俺ん家来て」

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