苦くて甘い恋愛中毒


風呂から上がり、冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを一気に体内へ流し込む。

空になったペットボトルを、そのまま可燃ゴミの袋へ放り投げた。
疲労がピークの今の私には、分別だとかどこぞの温暖化だとか、申し訳ないけれど、構ってやれる余裕はない。
今は地球よりも自分自身を労りたい。

冷蔵庫に微妙に入っている食材を見て、昼から何も食べていないことに気づいた。
人間のカラダとは勝手なもので、今の今まで食のことなんて頭の隅にもなかったくせに、一旦思い出すと急に空腹が襲ってくる。

何か作ろうかと思ったが、冷蔵庫を見ても使えそうなものはほとんど入っていない。
今からまた着替えて、化粧して、買い物に行って、挙げ句自炊だなんて、気の遠くなるほど面倒だ。
それなら、このまま空腹に耐えるほうが幾分かはマシだ。

別にちょっと食べなかったくらいで死ぬほど、人間のカラダは柔にできちゃいない。

夕飯の代わりに晩酌をと、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、プルタブを開ける。
いつもなら快感な炭酸の抜ける音も、今の私の気分とは正反対だ。
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