爽やか王子と内気少女



わ~、ああやって永井君ファンが増えていくんだな…


「キザな男……」



いつの間にか私の席に来ていた弥生ちゃんが小さな声で呟いた。




「昼休み、皆体育館に行きそうだね…」

少し行ってみたいかも…そんな気持ちを持ちながら言う。





「新垣、西川、俺もバスケ出るんだ」


隣の席から、珍しく起きてる田中君が自分を指差しながら言った。


「何、その笑顔…」


弥生ちゃんが少し呆れて言う。


「冷た…少しくらい応援してよ…」


ため息を付く田中君に、慌てて私は「頑張ってね!」と言った。

すると田中君はたちまち笑顔になる。



「新垣は優しいね~ありがと」



そんな事を言った田中君はチラッと私の前の席を見た。


私もつられて見ると、梨華ちゃんたちと話を終えてた永井君が、後ろを振り返ってこちらを見ていた。


目が合い、胸の鼓動が早くなったのと、血が体中を流れて行くのがわかった。



< 30 / 130 >

この作品をシェア

pagetop