捨て犬とあたし

捨て犬との出逢い。


両親のいないあたしは

家具付アパートで

1人暮らしをしていた。

彼氏(翔)と

デートをしていたら

夜になっていた。

翔はあたしを

アパートの近くまで

車で送ってくれた。

翔とは歳が5つ離れている。

あたしは17歳で翔は22歳だ。

優しくて

一緒にいて楽しいし

あたしのことを

すごく考えてくれる。


「じゃあなっ。乃愛」

『ぅん、ありがとっ♪』


あたしが

笑顔でお礼を言うと

翔はキスしてくれた。

あたしは

照れ笑いしながら

アパートに向かった。

アパートの階段を登り

あたしの部屋の

そばまで着くと

大きなダンボールがあった。


『なによこれ?』


あたしは

ダンボールを

恐る恐る開けた。


『キャアッ…』


ダンボールの中には

男の人が入っていた。

20歳くらいだ。

身体中傷だらけで

息をするのもやっと

という感じだ。

あたしは急いで

救急車を呼ぼうと思い

携帯を出した。


「ぅ…うぅ…」


ダンボールの中の

男の人は

苦しそうな声を出した。

あたしは

救急車を呼ぶのをやめて

早く傷を手当して

あげようと思い

ダンボールを

部屋まで引きずった。

そして

あたしのベッドの上に

捨て犬のような男を

運んでいった。

救急箱をおし入れから出して

あたしは彼の手当てを始めた。

体温を測ると38度もあった。

服もボロボロで

真っ白のシャツは

血で赤く染まっている。

手当てをしていたら

知らない間に

あたしは彼の寝ている

ベッドにもたれて寝ていた。
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