捨て犬とあたし
捨て犬→飼い犬

あたしが

ちゃんと泣き止むと

彼にお姫様抱っこされて

リビングまで

運ばれていった。

そして

あたしをソファの上に

下ろした。


『?』


あたしが『ん?』と

思っていると

彼は突然正座した。


『な、なに!?』

「五十嵐潤也20歳!

 今日からここに

 住まわせていただきます!」


彼はそういうと

あたしの隣に座り

横からギューっと

あたしを抱きしめて

頬と頬をくっつけた。


『ちょっ…///』

「ねぇっ、いいでしょ?」

『イャ…』


あたしが

『イヤ!』

と言おうとしたら

潤也はあたしに

チュッとキスした。


「その言葉、絶対言っちゃだめ」


潤也は

あたしの耳元でささやいた。

ドキッ――


『…ゎかったよ///』


絶対断れないと

確信したあたしは言った。


「やったあ♪」


嬉しそうな潤也を見て

あたしの顔から

自然に笑みがこぼれた。


『住むって言っても

 ちゃんと仕事してよ?』

「えぇ…」

『あたりまえじゃない』


今でも満足に

服も買えないのに…。

潤也は

いや~ぁな顔をしている。


『そんな顔しないでよ…』

「ぅ~ん…」


こんなこんなで

捨て犬は飼い犬になり

あたしと捨て犬の

生活は始まったのでした。
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