上司に恋しちゃいました
オフィスの秘め事
 ───……


朝起きると、隣で寝息を立てている男……。


それは紛れもなく、あたしの上司。


いつの間に腕枕していてくれたんだろう。



そんな優しさに嬉しくなって、胸がきゅっと締め付けられる。


身体に残る倦怠感を振り払うように身を起こし、時計を見て絶句した。



急いで着替えて、慌ててホテルを出た。


悲しいことに、今日も会社。今からなら、家に帰って着替える時間はあるだろう。


あたしは置手紙も残さず、起こそうともしなかった。


一夜限りの思い出。


大人にはそんなこともある、そう自分に言い聞かせてやっと朝日が昇り始めた街並みをハイヒールで駆け抜けた――

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